恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。
「……どういうことですか?」
「俺の名前を呼ばないのは、嫌々聖剣の乙女になったという君の意思表示だと思っていた」
「え? 嫌々ってそんなことは……」

 初めは戸惑いもしたが、嫌で嫌で仕方ないなどと思ったことは一度もなかった。

「君に距離を開けられているように感じていた。だから俺は……」

 そこでロランは、どこか恥ずかしそうに言葉を切った。

「だから勇者は……?」
「だから俺は……要は拗ねていたんだ。君が名を呼ばないのなら、俺も君を名で呼ぶことはしないと」
「勇者が拗ねていた? わたし相手に? 勇者が拗ねて?」
「何度も言わないでくれ。自分でも子供じみていると分かっている」

 赤くなったロランが、今度は顔を逸らした。
 かと思うと再びアメリを熱い瞳で見上げてくる。

「呼んでくれ、アメリ」
「ロ……ラン……あ、あぁんっ」

 いきなり抱き寄せられて、胸に吸い付かれた。
 内股を上へと辿る指先が、アメリの秘所に入り込む。

「ああ、こんなにもぐしょぐしょだ。見られただけでこうなったのか?」
「やぁん、そんなふうに言わないで……!」
「アメリ、君は本当にいやらしいな」

 先ほどの殊勝な態度はどこへやら、アメリはあっという間にロランのペースに戻されてしまった。
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