恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。
 アメリの体に力が入った。押し込まれてくる質量は、思った以上の異物感だ。
 先端が埋まった段階で、ロランはアメリを伺うように動きを止めた。

「痛いか?」
「う……んん……」

 どっちともつかない声をアメリはもらした。
 まったく痛くないというと嘘になる。しかしロランの表情もすごく苦しそうに見えた。
 これが寸止めという状態なのだろう。
 そんなことを冷静に考えている自分が急におかしくなって、アメリはふっと柔らかい笑みをこぼした。

「そのまま続けてください……わたし、だいじょうぶだから……」
「アメリ……」

 切なげに名を呼んだロランが、再び昂ぶりを押し込み始める。

「くっ、きついな……アメリ、深呼吸して力を抜いてみてくれないか?」

 頷いて、努めてゆっくりと息をした。
 そのリズムに合わせて、ロランが奥へと進む。最大の痛みを過ぎた辺りで、ようやくロランは動きを止めた。

「見てみろ。全部入ったぞ」
「あ……」

 アメリとロランの腰が隙間なく密着している。
 (ナカ)にロランがいるのを視覚からも感じて、アメリの奥がきゅうっと疼いた。

「ああ、アメリ……ずっとこうやって君と繋がりたかった……」
「ロラン……」
「できるだけゆっくり動くが……俺ももう限界だ」

 苦しげなロランの頬にアメリは手を伸ばす。

「好きに動いて、いいんですよ……?」
「どうして君はいつもそうやって俺を煽るんだ……後悔しても知らないからな」

 低く言われ首をかしげた瞬間、アメリはその意味を知ることになった。

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