この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜
「やめろ!」

 笑顔を歪ませ、フレディの身体をベッドに押し付ける義母に、フレディはゾクリと恐怖を覚えた。

「私が良い事、いっぱい教えてあげるわ」

 するりと肌を露にし、フレディの服にも手をかける義母。

「義母上、やめてくれ……っ……」

 フレディの声は届かず、義母は身体を倒し、フレディの耳をべろりと舐めた。

「ああ、若いイケメンって良いわね」
「ひっ……」

 化け物のようなその女は、もはや母と呼べる物では無かった。

「公爵家ってだけであんな歳の離れた男に嫁がせられて、人生終わったと思ったけど、息子がこんなにイケメンなんて。私ってばツイてるわあ」

 義母は訳の分からないことを嬉しそうに呟くと、フレディの頬に手を置く。

「やめろ……」
「あなたはこの秘密を誰にも言えない。せっかくだから、楽しみましょう?」

 フレディの言葉は届かず、再び義母にキスされそうになる。

「やめろ――――――っ!!!!」

 瞬間、フレディの強い魔力が暴走した。

 それからのことはあまり覚えていない。

 屋敷を半壊させたが、義母は無事だった。

 義母はフレディに迫られたと父に泣いて説明した。そして思い通りにならず、魔力を暴走させた、ということになっていた。

 勘当され、牢屋送りになりそうだった所を助けてくれたのが、姉のレイラと義兄のライアンだった。

 魔術学院の寮に住めるように手続きしてくれ、ライアンが後ろ盾になってくれた。

 元々魔力量の高いフレディは、魔術学院でその制御も学び、その力を発揮していった。

 首席で卒業する頃には魔法省への入省も決まり、トントン拍子に局長まで上り詰めた。

 そして父と義母は領地での流行病であっさりと他界した。

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