この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜

22.お茶会

 王城に馬車が着き、アリアはようやくフレディから解放された。

 フレディに手を取られ馬車を降り、お茶会の会場まで歩く。今日は王太子夫妻によるガーデンパーティー。

 王城で一番大きな庭にはいくつも丸いテーブルが並べられ、白を基調としたテーブルウェアで揃えられている。

 王女が開くお茶会は室内で密かに開かれる物ばかりだったので、アリアはその開かれた華やかさに目を輝かせた。

「アリア、最初に殿下たちに挨拶に行くよ」
「は、はいっ」

 キョロキョロとしていたアリアに目を細め、フレディが腕を差し出す。その腕に手を添え、アリアはフレディと並び、王太子夫妻に続く真ん中の道を歩いた。

 会場にはすでに招かれた他の貴族たちがいて、伴侶を伴うフレディにざわめいた。

「あれが悪役令嬢……?」
「噂の奥方様だわ」

 皆がざわざわとアリアに視線を注ぐ。

「アリア・クラヴェルは赤い髪ではなかったか?」
「悪女はあんなに上品だったか?」

 皆、アリアのトレードマークだった赤い髪じゃないことに不思議に思っているようだった。

 そんな貴族たちに見せつけるようにフレディはアリアの腰を寄せて密着する。

「フレディ様?!」

 ざわつく貴族たちはまったく目に入らず、フレディは目の前のアリアの頬が赤く染まるのに満足して微笑む。

 すると、「キャー、フレディ様が微笑まれているわ!」などと女性たちから悲鳴が上がった。

< 63 / 100 >

この作品をシェア

pagetop