この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜
「アリーちゃん、忘れてると思うけど、うちの弟は国一番の魔法の使い手なのよ?」
「魔法を使うことを避け、研究ばかりしているがな」
パチンと自慢気にウィンクをしたレイラに、ライアンは苦笑して言った。
「ええと、それは存じておりますが……」
魔法省の局長まで昇りつめた人。魔法を使っている所を見たことは無いが、凄い使い手だということは、この国の貴族ならば誰しも知っている。
(それを今更、どうしたのかしら?)
頭に疑問符を浮かべるアリアに、ライアンは眉尻を下げた。
「アリーの記憶を取り戻すことくらい、フレディなら簡単に出来るということだ」
「!? そんなことが?」
魔法とはそんなことまで出来るのかとアリアは驚いた。
「治癒魔法の一種だな。まあ、そんなことが出来るのはフレディくらいだが」
「ふふふ、義弟バカですわね」
「君もな」
自慢気なライアンと嬉しそうなレイラがうふふ、と笑い合う。そんな仲睦まじげな二人にアリアは少しだけいたたまれなくなり、顔を赤くした。
「フレディはライアン様以上に溺愛素質がありそうですよね?」
「そうだな。アリー、今から覚悟しておくんだな」
「ひゃい?!」
アリアの様子に気付いた二人は、からかい気味にアリアに言った。
アリアは更に顔を赤くして、口をパクパクさせた。
「記憶を取り戻したら、フレディの気持ちに応えてやって欲しい。アリーもそのつもりなんだろう?」
フ、と優しく笑うライアンに、アリアは目を大きく見開いた。
「はは、無自覚か。そこまでして過去に立ち向かおうとするのは、フレディへの愛ゆえだろうと思ったのだが」
「あ、い……」
楽しそうに笑うライアンの言葉を繰り返した所で、アリアは顔から湯気が出そうな程に顔を真っ赤にさせた。
(私、フレディ様のこと――)
この数日、フレディに甘やかされた日々は充実して幸せだった。それは仕事のやりがいではなくて――
「私……私……」
言葉に出来なかった気持ちがようやく心の中に形として現れた。アリアはそれを必死に抱き締めるように何度も呟いた。
「アリーちゃん、フレディはあなたを待ってる。だから急がず、慌てず、あなたのペースで自身を取り戻すのよ」
立ち上がり、アリアの横まで来てふわりと抱きしめてくれたレイラに、アリアはその腕に縋りつくように両手を添えた。
「フレディのこと、よろしく」
まだ整理がつかない自身の気持ちに心臓が早鐘を打つのを聞きながら、レイラの優しい言葉がアリアの耳のひだをくすぐった。
「魔法を使うことを避け、研究ばかりしているがな」
パチンと自慢気にウィンクをしたレイラに、ライアンは苦笑して言った。
「ええと、それは存じておりますが……」
魔法省の局長まで昇りつめた人。魔法を使っている所を見たことは無いが、凄い使い手だということは、この国の貴族ならば誰しも知っている。
(それを今更、どうしたのかしら?)
頭に疑問符を浮かべるアリアに、ライアンは眉尻を下げた。
「アリーの記憶を取り戻すことくらい、フレディなら簡単に出来るということだ」
「!? そんなことが?」
魔法とはそんなことまで出来るのかとアリアは驚いた。
「治癒魔法の一種だな。まあ、そんなことが出来るのはフレディくらいだが」
「ふふふ、義弟バカですわね」
「君もな」
自慢気なライアンと嬉しそうなレイラがうふふ、と笑い合う。そんな仲睦まじげな二人にアリアは少しだけいたたまれなくなり、顔を赤くした。
「フレディはライアン様以上に溺愛素質がありそうですよね?」
「そうだな。アリー、今から覚悟しておくんだな」
「ひゃい?!」
アリアの様子に気付いた二人は、からかい気味にアリアに言った。
アリアは更に顔を赤くして、口をパクパクさせた。
「記憶を取り戻したら、フレディの気持ちに応えてやって欲しい。アリーもそのつもりなんだろう?」
フ、と優しく笑うライアンに、アリアは目を大きく見開いた。
「はは、無自覚か。そこまでして過去に立ち向かおうとするのは、フレディへの愛ゆえだろうと思ったのだが」
「あ、い……」
楽しそうに笑うライアンの言葉を繰り返した所で、アリアは顔から湯気が出そうな程に顔を真っ赤にさせた。
(私、フレディ様のこと――)
この数日、フレディに甘やかされた日々は充実して幸せだった。それは仕事のやりがいではなくて――
「私……私……」
言葉に出来なかった気持ちがようやく心の中に形として現れた。アリアはそれを必死に抱き締めるように何度も呟いた。
「アリーちゃん、フレディはあなたを待ってる。だから急がず、慌てず、あなたのペースで自身を取り戻すのよ」
立ち上がり、アリアの横まで来てふわりと抱きしめてくれたレイラに、アリアはその腕に縋りつくように両手を添えた。
「フレディのこと、よろしく」
まだ整理がつかない自身の気持ちに心臓が早鐘を打つのを聞きながら、レイラの優しい言葉がアリアの耳のひだをくすぐった。