この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜
28.歪んだ想い
男は魔法省から王城の中枢に歩みを進めた。その間、城で働く人たちから隠れることなく、堂々と密着して歩いた。
どうやらアリアの浮気現場を見せつけているようだった。
悪役令嬢アリアと愛人のメイドは同一人物だという噂はあっという間に社交界を駆け巡った。先日の王太子主催のパーティーではフレディの溺愛ぶりが多くの貴族の目に入り、二人の話題が尽きることは無かった。
その噂の渦中にあるアリアが別の男と寄り添って歩いている、というのは、やはり王城にいる貴族や働く人たちの格好の的になるようだった。
「あれは……公爵様から寵愛を受けながら何と不潔な」
「やっぱり悪女なんだわ」
「あんな女、公爵家の恥になるわ。公爵様はやはり騙されているのよ」
ヒソヒソと、しかしアリアたちに聞こえる声で周りからは囁かれる。
アリアは青い顔で俯きながら男に従って歩いているが、皆、そんなアリアの表情など見てなどいない。
「こんなもんか」
視線と噂を集め満足した男はそう呟くと、今度は人気のない通路へと曲がる。
人気のない所へ消えた二人を見た人たちは、増々下衆な噂を囁いた。
王城の複雑な廊下を上がったり下がったり、アリアは連れ回される。
(どこに向かっているのかしら)
メイド時代、王城のこんなに入り組んだ場所まで入ったことなどない。
アリアはナイフを突き付けられたまま無言で進む。
行き止まりになった所で、男が壁を3回ノックした。
ギギギ、とその壁が回転するように開く。どうやら隠し扉らしい。
「入れ」
男の命令に従い、アリアはその扉をくぐった。
薄暗い部屋の中にはベッドが一つ、ソファーが一つだけあり、奥にも何かがあるようだった。ベッドは豪奢な飾りがついた大きな物で、簡素な部屋には浮いて見える。
男が薄暗い部屋の魔導具のランプに灯りを灯すと、ベッドの上に足を組んで座る女性がいたことにアリアは気付く。
「泥棒猫の悪女がお前だったなんてね……どうやって私のフレディ様に近付いたのかしら?」
「ローズ王女……殿下……」
どうやらアリアの浮気現場を見せつけているようだった。
悪役令嬢アリアと愛人のメイドは同一人物だという噂はあっという間に社交界を駆け巡った。先日の王太子主催のパーティーではフレディの溺愛ぶりが多くの貴族の目に入り、二人の話題が尽きることは無かった。
その噂の渦中にあるアリアが別の男と寄り添って歩いている、というのは、やはり王城にいる貴族や働く人たちの格好の的になるようだった。
「あれは……公爵様から寵愛を受けながら何と不潔な」
「やっぱり悪女なんだわ」
「あんな女、公爵家の恥になるわ。公爵様はやはり騙されているのよ」
ヒソヒソと、しかしアリアたちに聞こえる声で周りからは囁かれる。
アリアは青い顔で俯きながら男に従って歩いているが、皆、そんなアリアの表情など見てなどいない。
「こんなもんか」
視線と噂を集め満足した男はそう呟くと、今度は人気のない通路へと曲がる。
人気のない所へ消えた二人を見た人たちは、増々下衆な噂を囁いた。
王城の複雑な廊下を上がったり下がったり、アリアは連れ回される。
(どこに向かっているのかしら)
メイド時代、王城のこんなに入り組んだ場所まで入ったことなどない。
アリアはナイフを突き付けられたまま無言で進む。
行き止まりになった所で、男が壁を3回ノックした。
ギギギ、とその壁が回転するように開く。どうやら隠し扉らしい。
「入れ」
男の命令に従い、アリアはその扉をくぐった。
薄暗い部屋の中にはベッドが一つ、ソファーが一つだけあり、奥にも何かがあるようだった。ベッドは豪奢な飾りがついた大きな物で、簡素な部屋には浮いて見える。
男が薄暗い部屋の魔導具のランプに灯りを灯すと、ベッドの上に足を組んで座る女性がいたことにアリアは気付く。
「泥棒猫の悪女がお前だったなんてね……どうやって私のフレディ様に近付いたのかしら?」
「ローズ王女……殿下……」