この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜
ローズの放った言葉に、アリアは驚愕する。
「ローズ様、私はあなたをお慕いしています。やっと領から王都に出て来られたのに、他の女を娶れなんて、酷いことをおっしゃるのですね……」
その男、マディオはそう言いながらも、顔を恍惚とさせながらローズに近寄って来る。
「私がフレディ様と結婚しても、あなたを愛人にくらいしてあげるわ」
「……秘密の関係なんてたまらないなあ」
ローズの言葉にマディオは増々嬉しそうに顔を歪めて、王女の手を取った。
「話はあんたがその女を妻にしてからよ」
マディオの手を払い、その手でローズはベッドを指差す。
「……仰せのままに」
二人のやり取りに、アリアはゾクリとする。
(待って……まさか……)
「あんたが結婚した身で他の男の物になれば、フレディ様はあんたを切るわ。社交界でも浮気して他の男と関係を持った女として噂されて、公爵家にはいられなくなるから」
「そんなことしても、フレディ様の心が手に入る訳じゃないです!」
「うるさい! フレディ様は私のものよ! あんたなんかに渡さないんだから!」
アリアの訴えはローズには届かない。
「マディオ!」
「はい」
ローズがマディオに視線で指示をすると、アリアはマディオに再びナイフを突き付けられる。
「ほら、来い」
マディオに言われるままベッドまで歩かされる。
どん、とマットレスに突き飛ばされ、アリアはベッドに倒れ込む。アリアの上を跨ぐようにマディオがすかさず上に乗る。
「やめ……て……」
恐怖で声が掠れる。アリアのそんな声にマディオは気味悪く口の端を上げた。
「悪いな。お前に興味はないが、ローズ様のためだ」
その歪な想いに、アリアは身体を震わせた。
「ローズ王女殿下! こんな、人の想いを利用するなんてやり方、やめてください!!」
アリアはローズに懇願した。しかし、いつの間にかベッドサイドに立っていたローズはアリアの頭の横にナイフを振り落として突き刺した。
「うるさい! 本当はあんたなんて殺してやりたいのよ! でもこうして、男好きなあんたに他の男を充てがってやるだけなんだから、感謝なさい?」
ナイフを至近距離に突き刺され、アリアの顔は青くなる。ガクガクと震え、身体にも力が入らない。
「マディオ……」
「仰せのままに」
顔を歪ませたローズがマディオに視線を落とすと、彼も笑顔を歪ませ、アリアに視線を向けた。
ビリリ、とナイフがアリアのドレスを裂く音が部屋に響いたが、アリアは恐怖で身体を硬直させ、動けない。
(嫌だ……気持ち悪い! フレディ様以外に触れられるなんて、嫌だ……!)
『気持ち悪い! 触るな――』
瞬間、アリアの脳裏に聞き覚えのある声が響いた。
それは、昔、魔法省の下の小さな庭で出会った、ラピスラズリの綺麗な瞳をした青年の声だった。
「ローズ様、私はあなたをお慕いしています。やっと領から王都に出て来られたのに、他の女を娶れなんて、酷いことをおっしゃるのですね……」
その男、マディオはそう言いながらも、顔を恍惚とさせながらローズに近寄って来る。
「私がフレディ様と結婚しても、あなたを愛人にくらいしてあげるわ」
「……秘密の関係なんてたまらないなあ」
ローズの言葉にマディオは増々嬉しそうに顔を歪めて、王女の手を取った。
「話はあんたがその女を妻にしてからよ」
マディオの手を払い、その手でローズはベッドを指差す。
「……仰せのままに」
二人のやり取りに、アリアはゾクリとする。
(待って……まさか……)
「あんたが結婚した身で他の男の物になれば、フレディ様はあんたを切るわ。社交界でも浮気して他の男と関係を持った女として噂されて、公爵家にはいられなくなるから」
「そんなことしても、フレディ様の心が手に入る訳じゃないです!」
「うるさい! フレディ様は私のものよ! あんたなんかに渡さないんだから!」
アリアの訴えはローズには届かない。
「マディオ!」
「はい」
ローズがマディオに視線で指示をすると、アリアはマディオに再びナイフを突き付けられる。
「ほら、来い」
マディオに言われるままベッドまで歩かされる。
どん、とマットレスに突き飛ばされ、アリアはベッドに倒れ込む。アリアの上を跨ぐようにマディオがすかさず上に乗る。
「やめ……て……」
恐怖で声が掠れる。アリアのそんな声にマディオは気味悪く口の端を上げた。
「悪いな。お前に興味はないが、ローズ様のためだ」
その歪な想いに、アリアは身体を震わせた。
「ローズ王女殿下! こんな、人の想いを利用するなんてやり方、やめてください!!」
アリアはローズに懇願した。しかし、いつの間にかベッドサイドに立っていたローズはアリアの頭の横にナイフを振り落として突き刺した。
「うるさい! 本当はあんたなんて殺してやりたいのよ! でもこうして、男好きなあんたに他の男を充てがってやるだけなんだから、感謝なさい?」
ナイフを至近距離に突き刺され、アリアの顔は青くなる。ガクガクと震え、身体にも力が入らない。
「マディオ……」
「仰せのままに」
顔を歪ませたローズがマディオに視線を落とすと、彼も笑顔を歪ませ、アリアに視線を向けた。
ビリリ、とナイフがアリアのドレスを裂く音が部屋に響いたが、アリアは恐怖で身体を硬直させ、動けない。
(嫌だ……気持ち悪い! フレディ様以外に触れられるなんて、嫌だ……!)
『気持ち悪い! 触るな――』
瞬間、アリアの脳裏に聞き覚えのある声が響いた。
それは、昔、魔法省の下の小さな庭で出会った、ラピスラズリの綺麗な瞳をした青年の声だった。