この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜
29.思い出
その日、アリアはいつも通り魔法省の下の庭を手入れしていた。
手入れといっても、散った葉や花びらを掃除し、雑草をむしり、ベンチを拭き掃除するといったことだった。
「こればっかりは専門家じゃないから無理だわ……」
アリアは目の前の萎れたバラたちに目を落とすと、肩を下げた。
この小さな庭を担当していた庭師は、高齢により引退したらしく、その後をローズの命令によってアリアが管理することになった。王城の中心から外れたこの場所は、ローズが訪れることもない場所だが、アリアにとって息のつける場所だった。
毎日役立たずだと罵られる。そしてローズにはどうやら想い人がいるらしい。
その想い人をお茶会に呼ぶ時は決まってアリアはこの離れた庭に追いやられていた。
「どうしたら良いのかしら……」
ローズの想い人に興味のないアリアは、目の前の萎れたバラたちを見て嘆く。
専門家ではないので下手な手出しは出来ず、水やりくらいしか出来ない。その水やりも合っているのかわからない。バラは日に日に弱っていく。
相談出来る相手もいないアリアは、「ごめんなさい」とバラに呟いて立ち上がる。
「うっ……」
「?!」
そこに青い顔をした金色の髪の青年が庭の入口にふらつきながらやって来た。
「大丈夫ですか?!」
手入れといっても、散った葉や花びらを掃除し、雑草をむしり、ベンチを拭き掃除するといったことだった。
「こればっかりは専門家じゃないから無理だわ……」
アリアは目の前の萎れたバラたちに目を落とすと、肩を下げた。
この小さな庭を担当していた庭師は、高齢により引退したらしく、その後をローズの命令によってアリアが管理することになった。王城の中心から外れたこの場所は、ローズが訪れることもない場所だが、アリアにとって息のつける場所だった。
毎日役立たずだと罵られる。そしてローズにはどうやら想い人がいるらしい。
その想い人をお茶会に呼ぶ時は決まってアリアはこの離れた庭に追いやられていた。
「どうしたら良いのかしら……」
ローズの想い人に興味のないアリアは、目の前の萎れたバラたちを見て嘆く。
専門家ではないので下手な手出しは出来ず、水やりくらいしか出来ない。その水やりも合っているのかわからない。バラは日に日に弱っていく。
相談出来る相手もいないアリアは、「ごめんなさい」とバラに呟いて立ち上がる。
「うっ……」
「?!」
そこに青い顔をした金色の髪の青年が庭の入口にふらつきながらやって来た。
「大丈夫ですか?!」