この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜
「誰ですか……?」

 当時、王女はまだデビュタント前で、男遊びをする前だった。マディオはそんな前から王女に想いを寄せる男で、ローズもそれを知っていた。

「ローズ様のために、死んでくれ……」

 マディオは持っていたナイフを目の前に出すと、アリアに振りかぶった。

「きゃあ!」

 間一髪でナイフを避け、アリアは逃げ出す。

「ローズ様を苦しめる奴はこの世から消えろ!」

 マディオは訳の分からないことを叫びながら、アリアを追いかけてきた。

 アリアとフレディが庭で会っていたことを知ったローズは、マディオにアリアを排除するよう、仕向けたのだ。

 行き止まりまで追い詰められ、「死ねえ!」とナイフが向かって来た所で、騒ぎに気付いた城の警備隊により、マディオは取り押さえられた。

 アリアは恐怖とショックから、その時に気を失い、そのままぽっかりと記憶を落とした。

 アリアが覚えていないことを利用し、この事件は闇へと葬られた。

 それから、冷遇には変わりないが、アリアは何故かローズの側に置かれることになった。

 ローズが二度とアリアをフレディに近付かせないために監視下に置いたのだ。

 そうこうするうちにローズはデビュタントを迎え、主催するパーティーやお茶会に貴族令息たちを取っ替え引っ替え招くようになった。記憶力の良いアリアが招待状の手配を任されるようになった。

 フレディは魔法省の局長に就任し、ローズの誘いを断れるようになった。それが増々ローズの男遊びに拍車をかけていると、当時のアリアは知らなかった。


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