この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに何故か潔癖公爵様に溺愛されています!〜
その様子を見せつけられていたローズは、ゆらりと立ち上がる。
「フレディ様!! 王女である私を殺そうとしたのですから、公爵といえど、極刑は免れませんわよっ!」
ローズの叫びに、アリアの身体がびくりと跳ねる。
フレディはアリアを隠すように抱きしめたまま、ローズを睨んだ。
「ふっ、ふふ、でもフレディ様が私と結婚なさる、というなら、私は貴方を救えますわ。もちろん、その女とは離婚してもらいますけどね。愛人なんて許しませんよ?」
そんなフレディに恍惚として微笑むローズは、彼に近付こうとする。
「俺の妻はアリアだけだ。お前となんか結婚しない」
「なっ?!」
迷いもなく答えるフレディにローズは驚愕して足を止める。
「し、死んでも良いっていうの?!」
「俺はアリアしか愛せない。他の女と一緒になるくらいなら死んだ方がマシだ」
「なっ……」
必死なローズにフレディは一ミリもブレない。ローズはくらりと目眩がする。
「フレディ様が死んでしまったら、私も死にます……」
話を聞いていたアリアが、フレディを見上げ悲しそうに呟くと、彼はアリアの目の上に唇を落とした。
「それは困る。アリアが死ぬなんて耐えられない」
「フレディ様……」
目の前でまた甘い空気を出す二人に、ローズが憤慨する。
「あ、あ、貴方たちっ! 私に逆らって、二人とも死罪にしてやるんだからっ!!」
ローズの叫んだ言葉にアリアは顔を青くさせたが、フレディは顔色一つ変えず、ローズの遥か後ろに焦点をやった。
「……?」
そんなフレディの態度を疑問に思い、ローズは彼の視線の先に顔を向ける。
コツ、コツ、とブーツの音が穴の空いた入口から中へと響く。
「いい加減にしないか、ローズ」
「お兄様?!」
部屋の中に入って来たのは王太子のルードだった。
ローズは驚いていたが、ルードが引き連れて来た近衛隊を見てにんまりとする。
「お兄様!! 私はあの悪女の男遊びに巻き込まれたんです! フレディ様はあの女に騙されて、私を殺そうとしましたが、悪いのはあの女だけなんです! フレディ様のことは、私が彼と結婚することで守ります。早くあの女を捕まえて!」
瞳をわざとらしく潤ませ、ローズはルードに縋り寄った。
「……お前はよくもまあ、そんな嘘が次々に出るなあ……」
ローズの言葉に溜息を吐くルード。ローズは兄が自身に見張りをつけていたことを思い出す。
(お父様と違って、何故かお兄様だけはいつも私の思い通りになってくれないんだったわ!)
「お父様は?! 国王陛下にお会いしたいわ! そこの三人を罰してもらうのよ!」
国王陛下である父には流石のルードも口を出せない。実際にこれまでのことは父と前宰相によって揉み消してもらっていた。窮屈ではあったが、見張りをつけることしか出来ない兄は敵ではないとローズは心の中でほくそ笑んだ。
「フレディ様!! 王女である私を殺そうとしたのですから、公爵といえど、極刑は免れませんわよっ!」
ローズの叫びに、アリアの身体がびくりと跳ねる。
フレディはアリアを隠すように抱きしめたまま、ローズを睨んだ。
「ふっ、ふふ、でもフレディ様が私と結婚なさる、というなら、私は貴方を救えますわ。もちろん、その女とは離婚してもらいますけどね。愛人なんて許しませんよ?」
そんなフレディに恍惚として微笑むローズは、彼に近付こうとする。
「俺の妻はアリアだけだ。お前となんか結婚しない」
「なっ?!」
迷いもなく答えるフレディにローズは驚愕して足を止める。
「し、死んでも良いっていうの?!」
「俺はアリアしか愛せない。他の女と一緒になるくらいなら死んだ方がマシだ」
「なっ……」
必死なローズにフレディは一ミリもブレない。ローズはくらりと目眩がする。
「フレディ様が死んでしまったら、私も死にます……」
話を聞いていたアリアが、フレディを見上げ悲しそうに呟くと、彼はアリアの目の上に唇を落とした。
「それは困る。アリアが死ぬなんて耐えられない」
「フレディ様……」
目の前でまた甘い空気を出す二人に、ローズが憤慨する。
「あ、あ、貴方たちっ! 私に逆らって、二人とも死罪にしてやるんだからっ!!」
ローズの叫んだ言葉にアリアは顔を青くさせたが、フレディは顔色一つ変えず、ローズの遥か後ろに焦点をやった。
「……?」
そんなフレディの態度を疑問に思い、ローズは彼の視線の先に顔を向ける。
コツ、コツ、とブーツの音が穴の空いた入口から中へと響く。
「いい加減にしないか、ローズ」
「お兄様?!」
部屋の中に入って来たのは王太子のルードだった。
ローズは驚いていたが、ルードが引き連れて来た近衛隊を見てにんまりとする。
「お兄様!! 私はあの悪女の男遊びに巻き込まれたんです! フレディ様はあの女に騙されて、私を殺そうとしましたが、悪いのはあの女だけなんです! フレディ様のことは、私が彼と結婚することで守ります。早くあの女を捕まえて!」
瞳をわざとらしく潤ませ、ローズはルードに縋り寄った。
「……お前はよくもまあ、そんな嘘が次々に出るなあ……」
ローズの言葉に溜息を吐くルード。ローズは兄が自身に見張りをつけていたことを思い出す。
(お父様と違って、何故かお兄様だけはいつも私の思い通りになってくれないんだったわ!)
「お父様は?! 国王陛下にお会いしたいわ! そこの三人を罰してもらうのよ!」
国王陛下である父には流石のルードも口を出せない。実際にこれまでのことは父と前宰相によって揉み消してもらっていた。窮屈ではあったが、見張りをつけることしか出来ない兄は敵ではないとローズは心の中でほくそ笑んだ。