親愛なる森
「はあ……」屋敷を出たところのテラスで、ハーヴェイ様は疲弊した様子でシャンパンを飲んでいる。俺は横で音楽に合わせて一人でイヅル風のダンスをしている。どこからともなく男がやって来て、ハーヴェイ様、わたくしの領地の畑でとれた葡萄の酒です。いかがです?というものだから、それを口に含み、
「いい香りですね。みずみずしい」とハーヴェイ様が答える。すると、農地をもう少し分けてくださればこのワインを海外に輸出できるのですがと言う話になり、すまない、領地については母に相談してくれなどという話になり、いろいろ気が休まらねえだろうなと思った。
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