親愛なる森

　ヴェーというのは、私の幼い頃の呼び名であった。 私は生まれてすぐに、親から引き離され、祖母の屋敷に預けられた。そこにはジョージという子供がいて、彼も預けられており、おばの子供であった。彼が遊び相手になるだろうという目算で預けられたのだが私はジョージに虐められて、祖母からも愛情をもらえなかった。
　ジョージは寝ている間に百足を靴の中に入れたり、私を引っ叩いたり、ノートを破ったり、言うことをきかなければ祖母に言いつけると脅すことで私を奴隷のように扱った。祖母に部屋を片付けろといわれれば、私におもちゃを片付けさせて、家庭教師に宿題を出されては私に宿題をやらせた。弱虫いくじなし、根暗のヴェーと罵られ、それは毎日繰り返された。