悪魔先輩のプリンセス〜初恋は魔界の王子さま⁉︎〜
2、悪魔のミッションデート
誕生日プレゼントでもらった花柄のポーチはカバンにしのばせて、リップはさっそく塗ってみた。
ほんのり桜色になって、顔がはなやかに映る。
気分だけでも上げておかないと、今日を乗り越えられる気がしない。朝からあんなことを知らされたら、足が重くもなるよ。
わたしは天使で、夜宮先輩が悪魔。まだ信じられなくて、自分の立場を飲み込めないでいる。
家を出てすぐの坂を下っていると、後ろからお父さんの声がした。途中まで仕事の道と同じだから、時間によっては重なることがある。
「ごめんな、リリア。大変な役目を任せて」
ううんと首を横にふるけど、何も言えない。
お父さんたちのせいじゃない。家系なのだから、仕方がないこと。
でも、もしもわたしが悪魔を見つける仕事をしなかったら、どうなるんだろう。翼が見えないことにしたら、あきらめてくれるのかな。
坂を降りたところで、叫び声が耳に入った。
駄菓子屋の前にカラスが群がっていて、その中心に小学生の男の子がいる。帽子を取ろうと口ばしでつついたり、服を引っぱったり。
どうして、あんなに寄ってたかって攻撃しているの? まだ小さくて、抵抗もできない子に。
「助けてあげないと!」
わたしより先に、お父さんが走っていた。仕事のカバンでカラスを追い払うと、男の子は泣きながら逃げて行く。
見たところケガはなさそう。よかった。
ホッとしていると、駄菓子屋の中で誰かが立っているのが見えた。この店のおばあさんだ。
ほんのり桜色になって、顔がはなやかに映る。
気分だけでも上げておかないと、今日を乗り越えられる気がしない。朝からあんなことを知らされたら、足が重くもなるよ。
わたしは天使で、夜宮先輩が悪魔。まだ信じられなくて、自分の立場を飲み込めないでいる。
家を出てすぐの坂を下っていると、後ろからお父さんの声がした。途中まで仕事の道と同じだから、時間によっては重なることがある。
「ごめんな、リリア。大変な役目を任せて」
ううんと首を横にふるけど、何も言えない。
お父さんたちのせいじゃない。家系なのだから、仕方がないこと。
でも、もしもわたしが悪魔を見つける仕事をしなかったら、どうなるんだろう。翼が見えないことにしたら、あきらめてくれるのかな。
坂を降りたところで、叫び声が耳に入った。
駄菓子屋の前にカラスが群がっていて、その中心に小学生の男の子がいる。帽子を取ろうと口ばしでつついたり、服を引っぱったり。
どうして、あんなに寄ってたかって攻撃しているの? まだ小さくて、抵抗もできない子に。
「助けてあげないと!」
わたしより先に、お父さんが走っていた。仕事のカバンでカラスを追い払うと、男の子は泣きながら逃げて行く。
見たところケガはなさそう。よかった。
ホッとしていると、駄菓子屋の中で誰かが立っているのが見えた。この店のおばあさんだ。