冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
年配の社長に褒めちぎられて、香蓮もまんざらではない。
喜ぶ彼女を見て、玲志もつられて笑う。
「早く妻を紹介できたらよかったのですが、なかなか機会がなくて。夫婦共々仲良くしてください」
「もちろんですよ」
玲志が積極的に紹介をしてくれることに、香蓮は少し自信を持つ。
「……ところで日向社長。来年の事業で少しご相談したい件があるんですが、今少しお時間をいただけないでしょうか」
社長が申し訳なさそうに香蓮を見たので、彼女はすぐに空気を読む。
「玲志さん。私、少し会場を見て回りたいので、社長とゆっくりお話しくださいませ」
「香蓮、本当に大丈夫か?」
玲志は彼女を慣れていない場所にひとりにするのが心配なのか、なかなか傍から離れない。
「大丈夫ですよ、お腹もすいているし軽食を戴きながら、ご挨拶にまわりたいと思います」
香蓮が明るく笑うので、玲志も安心したのかふっと口元に笑みを浮かべる。
そして顔を傾け、彼女の耳元に唇を寄せた。
「君は美しすぎる。男にくれぐれも気をつけてくれ」