冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
崩壊
「あなた、昨日からなんなんですか」
玲志は出張先の神戸で異変を感じており、ついに行動に出た。
ホテルの部屋を出てすぐの柱の裏にいる人物に、真っ向から話しかける。
やせ細った中年男でキャップを目深にかぶっているせいか、顔は確認できない。
男の手にはしっかりとスマホが握られており、画面はカメラモードになっていた。
「どこかの探偵ですよね。企業からの依頼? それとも個人の依頼?」
男は玲志の問いにだんまりを決め込む。
玲志は一企業の社長というのもあり、過去に何度か企業にリサーチをかけられ探偵をつけられたことがあった。
やはり何度体験しても、誰かからつけられるのはいい気がしない。
「あまり下手なことしないほうがいい。このまま尾行を続けるというのなら、警察に行く。君は何者だ?」
玲志の言葉に男は観念したのか、自ら事情を話し始めた。
「私は探偵ではなく、別れさせ屋の者です」
「別れさせ屋……?」