冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
由梨枝の隣にやってきた愛理は恥ずかしそうに体をもじもじとさせ、玲志を上目遣いで見た。
「この子は香蓮のような非道な行動は致しません。可愛く愛嬌があって、何より玲さんを誰よりも好いて――……」
「香蓮を散々こき下ろすに飽き足らず、よくそんなひどい提案ができますね」
玲志の厳しい表情に、愛理と由梨枝が後ずさりする。
「私が愛理さんを娶るなんて、この先一生あり得ません」
玲志の辛辣な言葉に、達夫がバンッとテーブルを叩きその場に立ち上がる。
「その言い方はあんまりじゃないか! 玲志君!」
「あんたの安易な考えは見え見えですよ。達夫さん」
玲志は、達夫を見据える。その瞳は一寸の光も宿っておらず、どこまでも冷え切っていた。
「どうにかして俺から金を搾り取り、他からも金を巻き上げようとお思いなんでしょうが、諦めてください。あなたはもう終わったんだ」