冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
空から雪が止めどなく降り落ち、あたりを真っ白にしている。
マンションの近所にある、公園やスーパー、商業施設など一通り行ってみるが香蓮の姿はない。
その間、一向に彼女が電話に出ないので、玲志の不安が積もっていく。
(もし本当に彼女が妊娠しているとするなら、この寒空の下、体調は大丈夫なのだろうか。まさかもっと違う場所に……?)
警察に行こうと決めたそのとき、玲志の手に持っていたスマホが震え、着信を知らせた。
「もしもし」
知らない番号だったが、香蓮に繋がる手掛かりになるのではと電話をとる。
すると電話の主は女性で、玲志が香蓮の夫かどうか確認したのち、近所にある総合病院の看護師だと名乗った。
『日向香蓮さんが道端で倒れているのを通行人が発見し、救急車で緊急搬送されました。今から病院に来ていただきたいのですが……』
看護師の言葉を聞くなり、玲志の血の気が引く。
(香蓮の体は大丈夫なのか。子供は……どうなったんだ?)
彼女ようやく会える喜びと、このまま香蓮も子供もいなくなってしまうのではないかという不安で、落ち着かない。
玲志は電話を切ると、香蓮の待つ病院へと大急ぎで向かった。