冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い


 香蓮は看護師の言葉に安堵し、自然に笑みをこぼした。

 「あぁ……よかった」

 「ふふ、無理はよくないので体調が整うまでここで休んでいてくださいね。パパは寂しいでしょうけど」

 看護師はテキパキと点滴を変えながら香蓮に告げると、部屋の入口のドアを覗き込む。

 「日向さん、奥さま目を覚ましましたよ」

 (えっ……)

 驚く間もなく、玲志が部屋にやってくる。

 ふたりが見つめ合っているの確認した看護師は、邪魔者は退散するとばかりにそそくさとその場からいなくなる。

 「玲志さん……」

 「香蓮」

 彼の姿を見た瞬間、様々な思いがこみ上げ香蓮の胸が熱くなる。

 玲志も玲志で彼女に溢れてくる思いをぐっと耐えるように、目を細めた。

 「本当に無事でよかった」
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