冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い

 玲志は真剣な表情で香蓮に耳を傾けている。

 「でもひとつ、確認させていただきたいことがあります……」

 「確認?」

 香蓮の心臓が鼓膜に響くほど、ドクドクと激しい音を立てている。緊張で呼吸も浅い。

 (やっぱりあの写真の経緯は、確認しておかなくちゃいけない。すごく怖いけれど……)

 夢だと思いたいが、今はっきりしておかないと、一生わだかまりが残ってしまうだろう。

 「お義母さんに、玲志さんがホテルで女性に抱き着かれている写真を見せられたんです。あれはいったいなんだったんでしょうか?」

 玲志は香蓮の質問に一瞬呆気にとられていたが、すぐに内容の意味を理解して、はぁーっと大きなため息をついた。

 「やっぱり。俺たちを別れさせようとしていたのは、飛鳥馬家だったのか」

 「え……?」

 まったく話が見えていない香蓮は、目をぱちくりと瞬いている。

 「香蓮の言っているそれ。飛鳥馬家に依頼された別れさせ屋が撮った写真だよ」
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