冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い


 心音を寝かしつけた香蓮がリビングにやってくる。

 この日。玲志は早々に仕事を切り上げ、いつもより早い時間に帰宅していた。

 「じゃあ今から晩酌でもしますか?」

 キッチンに歩きながら笑顔で話す香蓮を、玲志は背後からぎゅっと抱きしめる。

 「きゃっ……!」

 突然玲志に抱きしめられ、香蓮の頬に熱が集中する。

 顔を少し上げると熱っぽい視線にからめとられ、一気に彼女の鼓動の音が激しくなった。

 「玲志さん……?」

 「今日はなんの日か知ってるか?」

 玲志の突然の質問に、香蓮は目をぱちくりと瞬かせる。

 彼女は唇を尖らせしばし考えた様子だったが、諦めたのか首をかしげた。

 「全然わかりません。誰の誕生日でもないですし……」

 「今日は俺たちの結婚記念日だ」

 「え!?」
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