冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
香蓮の驚いた声を聞いて、玲志はくすくすと楽し気に笑う。
「覚えてるわけないよな。俺がひとりでさっさと提出した日だから」
「そっか……私たちにも結婚記念日が存在するんですもんね」
腕の中で納得したようにつぶやく香蓮の頬に、玲志はちゅっと淡いキスを落とす。
「だから実は、香蓮の好きなショートケーキも用意した」
「えっ、本当ですか?」
「今から食べよう」
玲志の提案に、香蓮は笑顔で大きく頷く。
玲志が買ったケーキをテーブルにならべ、ふたりはソファに横並びに座った。
幸せそうに微笑みながらケーキを口に運ぶ香蓮に、玲志は見惚れた。
彼女は心音を出産してから、今まで以上に優しい顔で笑うようになった。
この香蓮の笑顔をずっと守っていきたいと、しみじみ思う。
すると玲志の視線に気づいた香蓮が、笑顔で振り返る。
「玲志さん、どうしました?」
「ああ……いや。香蓮が美しくて見入ってしまっただけだ」