冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
新婚
玲志と再会を果たした日から、ちょうど三か月後。香蓮は実家を追い出されるような形で引っ越した。
場所は東京湾が一望できる都内のタワーマンションの最上階。玲志がひとりで長らく暮らしている住まいだ。
「では、何か問題がありましたらいつでもご連絡ください!」
「ありがとうございます」
はつらつとした引っ越し業者に愛想笑いを返し、香蓮は玄関の扉を閉める。
実家から持ち出した私物はほとんどなく、せいぜい数時間もあれば片付きそうだ。
「本当に素敵な部屋」
二十畳をゆうに超えるリビングは、すでに玲志がセレクトしたセンスのいい北欧家具で揃えられている。
部屋の奥を突っ切ってバルコニーに繋がるガラス窓の前の立つと、真っ青で光り輝くオーシャンビューが視界に広がった。
遊覧船の航跡波が模様のように作られていく様子を見て、香蓮は久しぶりに穏やかな気持ちになる。
「玲志さん、いつ帰ってくるんだろう」