冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
 「はい。それはもちろん……」

 香蓮は息を整えながら、意志のこもった目で玲志と視線を合わせる。

 玲志に一切関心が持たれていないと感じながら、香蓮は彼の妻としてのふさわしい女性になるため、できることはすべてやってきた。

 彼女が自信をもって彼を見つめていると、再び腕をとられ引き寄せられる。

 「じゃあ話は早いな」

 「え……? きゃっ!」

 玲志は香蓮の耳元でそっと囁くと、彼女をソファへと引っ張る。

 香蓮の視界が反転し勢いよく背中がスプリングにはじかれてすぐ、玲志は彼女を組みしき、シャツのボタンを上から次々と外していく。

 「れ、玲志さん……いったい、何を?」

 男性経験がまったくない香蓮でもこれから起こりうる出来事を察する。

 愛している玲志に触れられること自体はなんら問題はないが、夫婦としての愛情がないのに体を開くとなると気持ちが追い付いてこない。

 怯える香蓮を玲志冷ややかな眼差しで見下ろす。

 「何を? 俺たちは夫婦なんだから子供を作るのは自然の流れだろ」

 「そ、それはそうかもしれませんが……でもっ……」

 反論しようとした香蓮の顎を掴み、玲志は強い眼差しで彼女を見つめた。

 「妻としての役割を果たす約束を君は覚えてると言ったよな?」

 「んっ……ふ……」
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