冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い

 香蓮の返事を待つまでもなく、リビングの扉が閉まる。

 ひとりその場に残された香蓮は震える体をぎゅっと抱きしめた。

 玲志の行動をひとつひとつ頭の中で思い出しながら、彼の考えをどうにか理解しようとする。

 (玲志さんの言う通り、結婚した以上は彼に従わなければ……)

 彼への愛があるのは確かだが、この冷え切った夫婦生活で体だけを求められるのは、香蓮の心を殺すのと同等だった。

 しばし放心状態でソファに座っていた香蓮だったが、ふと我に返り重い身体を起こす。

 明日は玲志との結婚式。

 こんな最悪な状況でも彼の妻としての役割は果たさねばと心を奮い立たせた。

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