冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
玲志の言葉に、香蓮の胸はきゅんと甘く締め付けられる。
(楽しみだなんて。社交辞令でも……その言葉は嬉しすぎる)
気づいたら香蓮はいつの間にか玲志と話を終え、マウスを握ってぼんやりとモニターを見つめていた。
彼と出かける自分なんて想像できない。この状況が信じられないという気持ちだった。
(私、こんなに幸せになってもいいの? 幸せすぎてバチが当たらないかな)
長い年月、家族から虫けら同然の扱いをされてきた香蓮にとって、最近の玲志の言動は嬉しくもあり戸惑いの連続。
もう父親や義理の母たちの存在を忘れるくらい、香蓮の頭は玲志でいっぱいだった。
そして翌週の日曜日。
ふたりはピアノの演奏会とパーティに着るドレスを調達するため、銀座へと向かう。
「奥様。こちらのドレスはいかがでしょうか」