冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
香蓮は玲志に連れられるまま百貨店にゆき、富裕層の買い物をサポートする外商員と思わしき男性に出迎えられた後、VIPルームに通される。
オレンジの照明に照らされたモデルルームのような空間に、アクセサリー類が多数並んだテーブルがあり、ソファの正面に位置する場所にハンガーラックには、女性もののワンピースやドレスが複数かかっていた。
香蓮はそのうちのひとつを体に合わせ姿見を眺めていると、背後のソファで足を組んでいた玲志に名前を呼ばれる。
「君に似合いそうだ。試着してみたらどうだ」
「玲志さん……」
外商員に進められたドレスは香蓮が普段選ばないような無数にスパンコールが散りばめられたマーメイドラインのワンピース。
潜在意識の中で愛理より絶対に目立ってはいけないと思って生きてきた香蓮は、華やかに着飾るということを知らないのだ。
内心及び腰になりながらも、玲志と外商員に押し切られるようにして彼女はフィッティングルームに入った。
「あれ、意外と平気……かも?」