NY・Sentimental

勝ち誇ったような気分になり、意地の悪い気持ちで二人のやりとりを観察する。
カレンは俺についてきてもらいたいと思っているんだよ。

「いや、カレン、ちょっと待て……」
「ジョージ。あなたは今は身重の妻のことを考えてあげて?」
ジョージに少し寄って囁くようにカレンが言った言葉に、俺は強い衝撃を受ける。
身重? ケイトは妊娠しているのか。
ジョージと結婚式場で、指輪の交換直前までいったカレン。
そのカレンを、いったいいつからジョージは裏切っていたんだ。


にっこり笑って立ち去るカレンには、俺が最初に二人を地下の駐車場で見た時のような哀愁も、まして取り乱した様子も、全く見受けられなかった。
もうカレンはジョージを吹っ切ったという解釈をしてもいいのだろうか。
それなのになんなのだ、ジョージのあの態度は。

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