NY・Sentimental

もしかして仕事はできるけど、すごく方向感覚のない交通機関に疎い人間なのかしら。
一緒に交通機関を使っていても全く気づかなかったわ。


「一緒に行くわ」
「サンキューだねっ。カレン」

さっきまでの不安げな思案顔はどこへやら、腕組みをして、立っているわたしをいたずらっぽい瞳できゅっと見上げてくるセイジ。
契約をずっとこっちの有利な条件で決めた時、相手に隠れてわたしだけに向ける……いわゆる日本流に言うドヤ顔ってやつ? 

ここでどうしてそんな顔をするの。

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