NY・Sentimental

デスクに戻ってパソコンの操作をしているカレンを盗み見る。
完全に仕事に没頭して、さっきまでの俺との会話は頭の隅にもないという様相だ。
俺の作り話を全く疑わないよな。

俺の妹なんだから、それなりの歳だと想像はつくだろう。
カレンより二つ下で、もう大学を出て働き始めている。

兄貴に甘えて自由の女神グッズなんかねだる年齢じゃないんだよ。
少しは、口実かも、と深読みして俺の気持ちに思いをめぐらせてほしかったんだけどな。





「そっちじゃないわよセイジ」

約束の日、待ち合わせたカフェから外へ出て、歩き始めた俺にカレンが声をかけた。

「カレン、セントラルパークに行こう」
「え? 自由の女神でしょ? 方向逆よ?」
「今日は予定変更! 今日俺につき合ってそれでカレンが楽しいなって思えたら一緒に自由の女神に行ってくれる? 俺、まだ見てないんだ」
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