NY・Sentimental

2. ◇something new◇ 花連




その男性は、ニューヨークのマンハッタン、高いビルが軒を連ねる五番街のアベニューで、スマホを片手に途方に暮れた表情をしていた。


東洋人のようだけれど、アメリカの男性にひけをとらないくらいの身長はある。おそらく百八十くらいだろうか。
身長に反して体重のほうはそうでもないようにみえ、細身だった。

ここには多くの国からビジネスマンが赴任してくる。
初めて足を踏み入れた人なら迷うのはままあることだ。


早朝の出勤時間。足を止めて、彼に注意を払う者はいなかった。
どうしよう、英語が通じるのかしら。

立ち止まって彼の不安そうな横顔に見入る。
わたしは彼の手にするお土産用らしい紙袋が、日本では有名な菓子メーカーのものだったことで、彼が日本人であることを確信した。



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