NY・Sentimental
アメリカに来て驚いたのが、どこの店に入っても料理の量が半端じゃないことだ。
何種類ものシーフードを食べたいと思っても、一皿一皿の量が多すぎて、何皿も頼めない。
俺は、スティーブンの名前を出して店のスタッフと交渉し、一皿の量を少なくして、何種類もの料理を頼めるように取り計らってもらった。
「すごいわね。セイジ。もうそんなことまでしちゃうんだ」
俺が交渉し終わってメニューを畳んでスタッフに渡すと、カレンは目をしばたたいた。
ワインの銘柄選びは、もうカレンに任せることにしている。
何度か一緒に食事に行くようになって、カレンは俺にワインの講釈を当たり前のようにするようになっていた。
嬉しそうに、ちょっと得意げに、身振り手振りを加えながら薀蓄(うんちく)をたれている彼女を眺めているのが、俺はけっこう好きだったりする。