NY・Sentimental
美味い料理を一緒に食うのが嬉しい。
美味い酒を一緒に飲むのが楽しい。
『すごいわね』といわれるのがくすぐったい。
酒の量が増えていくのに比例して、笑顔がはじけ、どんどん砕けた口調になっていく君を見ているのが好き。
アルコールがまわるに従って、カレンはふだんはそれほどしない自分の話や、興味の向く話が増えていく。
君をさらに深く知ることができるから、俺はもっと酒をすすめてしまう。
俺といる君を、楽しそうだよな、幸せそうだよな、と感じるられる一瞬一瞬がとても好きだ。
だけど……俺と二人で酒を飲むとき、カレンはあまりにも無防備すぎる。
俺のことを、男として全く警戒していない。
俺はいつになったらただの『いい人』を卒業できるのだろう。
「日本に可愛い彼女がいるんでしょ?」
これは、カレンが酔うと必ず聞く言葉だ。
「いないよ」