NY・Sentimental

こんなにわたしが怒っているというのに、ジェシーは実に興味深そうな、探るような表情をする。
最初のびっくり顔が去った今、口の端には含笑いさえ浮かんでいる。
もしかして面白がっているの?


「そんなぷりぷりしないでよ。カレン」

ぷりぷりさせているのはジェシーよ。

「じゃあ、どうしてカレンはまだここにいるの?」
「そ! それは。あの結婚式の後すぐじゃ、まるで逃げ出してるみたいでプライドが許さないからよ!」
「せっかくの好条件でのヘッドハンティングだって逃しちゃうわよ。そんなに待たせてたら」

「ふんっ。逃したら逃したで、まだまだ捕まえてみせるわよ。だいたい今来てるとこだったらうちの会社のほうがわりがいいのよ」
「どうだか」
「ほんとよ」

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