NY・Sentimental




「カレンカレン」

廊下からフロアに入ろうとしたところで、ニックが声をかけてきた。
ものすごくせっぱつまった声だった。

「どうし――……」
「君のダディが……倒れたんだ」
「パパが?」

一瞬、何のことを言っているのかわからなかった。
パパなら充分元気だ。
国際線のパイロットをしているパパは今日はオフで、朝早くから起き出して家族に朝食を作ってくれた。

「君に直接電話したけど、出なかったそうだ。部署にかかってきたよ」
ああ、お昼でレストランがうるさくて聞こえなかった?


「カレン?」

戸口で突っ立っていたら後ろからセイジの声がした。

「ニック。何かの間違いじゃないの? パパ、持病なんかないわよ?」

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