NY・Sentimental
「電話じゃ詳しいことはわからないんだよ、ケンゾウ・マサキ。君のダディだよね?」
パパだわ。
目の前が黄土色に濁っていく。
いきなり倒れたということ?
脳梗塞? それとも心筋梗塞?
ああ、午後からチーム長会議がある。
頭がくらくらして、身体が力を失い、よろけるのがわかる。
「カレン、危ない」
後ろから大きな両手がさっと伸びて、わたしの肩を支えた。
「セイジ……」
「カレン、会議は俺がでるよ。すぐ行くんだ」
「セイジ、ありがとう。ニック、パパの病院はどこ?」
「州立病院だよ」
「ごめんなさい。セイジ、あとをお願いします」
バッグだけを引っつかむとわたしは転げるようにビルから外に出て、拾いやすい場所でタクシーに乗った。
運転手さんに州立病院の名前を告げる。