NY・Sentimental

ただ、脳梗塞の一歩手前、という状況らしい、ということだけはわかった。
脳梗塞の一歩手前、とは、つまり脳梗塞ではないということ? 
後遺症は残らないということなんだろうか?

これまで、家族はもちろんわたしのまわりの人たちに、その病状の経験者は皆無で、全く知識がなかった。
考えても仕方のないことを果てしなく考えてしまう。
渋滞で低速でしか進まないタクシーの中で、わたしは眉間に深いしわをよせて、握ったこぶしの人差し指をギリギリとかみしめた。

わたしが州立病院についた時、もう妹のリラは先についていた。

「リラっ!!」

受付でパパの名前を言うと、行くべき場所を教えてくれた。

パパは手術の最中だった。

「カレン……」
「パパは? パパは大丈夫なの?」


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