NY・Sentimental

わたしの目の前をストレッチャーが通り過ぎる。
別人のように蒼白なパパの顔が、胸をえぐり、足元がグラつくような感覚を覚える。

「大丈夫ですよ。手術は成功です。お嬢さんのカレンさんとリラさんですよね?」

年配の白衣を着た男性に声をかけられ、ああ、この人がパパを救ってくれたのだ、と我にかえった。

「はい、せ、先生。あり、ありがとうございました」

膝に額がつきそうなほど、深く頭を下げる。

「病状の説明をしますので、わたしの診察室に行きましょうか。お母様は?」
「母は今、処置室で安定剤の点滴を受け、眠っています。母にはわたしから話します」

わたしはドクターに答えた。

「そうですか」

まだ口元を両手で押さえて涙の溜まった大きな目を見開いて放心しているリラを促し、ドクターの後に続いた。


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