NY・Sentimental
眠っているママを揺り起こし、パパの手術が成功したことを伝える。
ふらふらしているママを、わたしとリラで両側から支えながらパパの病室に向かう。
パパのベッドにはカーテンが閉まっていた。
まだ麻酔で眠っているパパのまわりでわたしたち三人は、いつの間にか皺の増えているその顔に見入った。
数時間がたった頃だろうか。
「シズカ……」
うっすらと目をあけたパパが、天井をむいたまま、ママの名前をつぶやいた。
それから横を向いてわたしたちのことをはっきり認めると、娘二人の名を呼ぶ。
「カレン、リラ」
「パパ、手術は成功よ。しっかりリハビリをすれば普通の生活が送れるわ」
わたしはパパの耳元に口を寄せ、囁いた。
「そうか……」
パパの目はどこか遠く、ここではない場所を見ていた。