NY・Sentimental
「セイジ……どうして……」
「ニックからだいたいのこと聞いたんだ。お父さん、大丈夫だったみたいだね」
「どうして、それ、を?」
「脳外科の病棟で」
セイジがわたしの正面で足を止め、わたし達は向かい合わせの体勢になる。
今、何時なんだろう?
明日だって仕事があるのに、わたしを心配してきてくれたの?
いままで待っていてくれたの?
いったいここで一人で何時間待っていたの?
「セイジ……」
セイジがわたしの両肩に手を置き、ゆっくりと自分のほうにひきよせた。
「不器用だな、泣きもしないで。上手く泣けないみたいだから、泣く手伝いしてやる」