NY・Sentimental

「意地悪……」

ハンカチを長細く開き、両目をそこに両手で押し当てているカレン。

「こっちに来るんだ」

その状態のカレンの細い手首をひいて、整然と並ぶ受付前の椅子の場所までゆっくり連れて行く。
受付前の椅子に座らせる。

「セイジ?」

俺は会社を抜けて買ってきたスニーカーを紙袋から取り出した。

「今日だけはこれ履いて帰ってくれ。な?」
「え」

戸惑っているカレンの前に片膝をついて、片手で足首を握り、反対の手で、その足から高いヒールの靴を抜き取る。


「ちょ、やめてよ! 何をしてるの?」
「脱がしてんの」

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