NY・Sentimental
3.◇something blue◇ 花連
全くよく食う親父だわね。
もう五十は過ぎていると思うのだけど、どうしたものかしら?
ここはマンハッタンでも高級で通っているグリルレストラン。
ホテルの最上階にあって、マンハッタンが一望できる。
すごく広いフロアのど真ん中に、開放された総ステンレス造りの磨き上げられた厨房があって、コックが料理を手際よくしているところを見せるのがウリ。
厨房から離れた窓際の席。
しかも角。
昼をかなり過ぎていることもあって、お客さんはとても少ない。
加えて、テーブルとテーブルの間隔をかなり広く取っているこの高級レストランで、隣の席の会話は聞こえない。
大きな声で喋る人もいない。
元村専務はさっきからニューヨークカットのステーキを、気持ち悪いほどのご機嫌で頬張っている。