NY・Sentimental

元村の手を思い切り振り払いたいのを、テーブルに敷かれた真っ白なクロスを握りしめて、耐える。

お金。お金。お金。
頭にひたすら札束を思い浮かべながら、深呼吸を静かに繰り返す。
誰に何と言われようと、これが人としてどんな最低な行為であろうと、わたしにはお金がいるのよ。


「部屋を取ってある」

笑えるくらい想定どうりだ。

想定の範囲外なのは、わたしの身体が全力でこの男を拒否していること。
しっかりして、カレン。
たったの一度じゃない。

経験のない子供じゃあるまいし……。






「失礼ですが、Mrモトムラ」

聞き覚えのある声が頭上から降った。

セイジ!

心がその人の名を呼んで悲鳴をあげるのを自分でどうすることもできなかった。


「なんだ君は?」


「覚えて、ませんでしょうか? 何度かご一緒してます。ジョージ・サンダースですよ、あの……」


ジョージが困ったような曖昧な笑みを浮かべて、そこに突っ立っていた。


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