NY・Sentimental


セイジじゃなくて……ジョージ。
不覚にも一瞬灯ってしまった歓喜の炎が、音もなく消えていく。
悄然とするわたしのほうに、いきなりモトムラが向き直った。
その顔がさっきとはうって変わって、憤っている。


「カレンさん。これはどういうことですか? 契約を白紙に戻すと、そう理解していいんでしょうかね?」
「ち、違います。元村専務。これはきっと何かの手違いですわ。ちょっと失礼しますね」

わたしは席を立ってジョージのスーツの袖を引っ張って、モトムラから少し離れた場所まで連れて行った。

「ジョージ! これは大きな契約なのよ? これが決まれば$10000000よ? モトムラはわたし一人に来いって行ったのよ? どうしてここがわかったの? ジェシーね?」


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