NY・Sentimental


「そうですかカレン……。そんな、ボスを呼び捨てですか。アメリカでは」
「ある程度の親しみをこめてそうしてるわ。セイジって呼んでもかまわない?」
「もちろん。上司のあなたをファーストネームで呼ぶんですから」

そう。わたしは四人編成のチームのチーム長だ。

「歳はわたしがたぶん下よ。今年で二十五になったの」
「ああ、そうですね。下だ。僕は二十七ですから」

セイジもその歳の日本人、東京支社採用でアメリカ本社に来るんだから、かなりのエリートなんでしょう。

でもね……。

「ニューヨークでは、甘い考えではやっていけないわよ。持ってる自分の武器はなんでも使うのね」

軽いこぶしにした右手で口元を隠し、その手の肘を、腕を組むようにして反対の手で支え、セイジを見据える。


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