NY・Sentimental

「マリッジ休暇だから仕方ないのよ。ホントはあなたを入れての編成は二人が帰ってきてからの予定だった」
「そう聞いてました。編成までは僕は研修……」

「でもわたしがいるんだから、わたしが教えるわ。甘くはないけど、セイジはとても優秀だと東京からのお墨付きよ。信用してるわ。午後から外回りで挨拶にいくわよ。さあ、ついてきて。あなたのデスクに案内するわ」

わたしはセイジに背を向けかけ、もう一度彼に向き合った。

「あなた、わたしの勘が正しければ、とても『いい人』よね? 自分で判断してそういう余分な持ち物は捨てたほうがいいわ」

そこでセイジは柔らかさの抜けた真顔になり、軽いいらだちを表情に覗かせた。
図星、なのかな。

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