NY・Sentimental


きゅっとしまった顔つきはなかなかにセクシーだった。

わたしを挑戦的に見返してくる目は闇夜の猛禽類を思わせて、『ただのいい人』キャラからわたしの中でひとつ格があがった。

「ご心配には及びませんよカレン。俺、いや僕は日本を出るとき、いろいろ考えましてね。でもこれが僕ですから。ただ僕に足りなかったものはこのニューヨークでどんどん足していこうと思います」

ふぅん、気骨を感じさせる言葉じゃないセイジ。

「引き算より足し算ってわけね。立派だわ、お手並みを拝見させていただこうじゃないの、セイジ」

そう言って今度こそ、わたしは彼を案内するためにデスクへ向かった。

< 23 / 351 >

この作品をシェア

pagetop