NY・Sentimental
きゅっとしまった顔つきはなかなかにセクシーだった。
わたしを挑戦的に見返してくる目は闇夜の猛禽類を思わせて、『ただのいい人』キャラからわたしの中でひとつ格があがった。
「ご心配には及びませんよカレン。俺、いや僕は日本を出るとき、いろいろ考えましてね。でもこれが僕ですから。ただ僕に足りなかったものはこのニューヨークでどんどん足していこうと思います」
ふぅん、気骨を感じさせる言葉じゃないセイジ。
「引き算より足し算ってわけね。立派だわ、お手並みを拝見させていただこうじゃないの、セイジ」
そう言って今度こそ、わたしは彼を案内するためにデスクへ向かった。