NY・Sentimental
「うん……」
「ほら言ったぞ? 返事は?」
「気がつかなかったけど、好きだったみたいです。謹んでお受けします」
セイジも噴き出した。
やっとわたし達は二人、いつも契約のあとに食事に行く時みたいな笑顔で笑えたと思う。
社から二人、直帰にはなってしまったけれど、取ったのは$10000000の契約。
連絡したボスは喜んでくれた。
わたしは取りあえずセイジの、太ももの真ん中くらいまでくるトレーナーと、ウエストに紐を通して絞りあげたジーンズを何段も折って足首を出すという格好で、ヒールを履く。
靴だけはさすがに借りるわけにいかなかった。
二人で夕闇の迫るマンハッタンに買い物に行く。
わたしの服や、明日、あさっての食材。
セイジの家には食材がほとんどなかったから。
少しはまともなものが作りたかったから。