NY・Sentimental


見ていると英語も問題なく使えるし、アメリカ人に比べて表情に乏しいと言われる日本人にしては、そつのないコミュニュケーション能力を発揮している。

おそらく仕事を覚えるのは相当に早いほうだろう。

最初から即戦力として期待していいってわけね。


◇◇◇


「じゃあ、セイジ、行くわよ」

上得意のところに、新任の挨拶をいまのうちにしておこうと考えたわたしは、セイジを連れて社を出る準備をしていた。

「あ、カレン、待って」

セイジが小走りでわたしのところに来て、慌てすぎて逆にもたついてしまったのか、床に置いてあった小さな箱に躓いた。
そのまま近くにいたわたしの腕を転ばないように掴んだ。

何をしているのよ。
安定感がいいとは言えない高いピンヒールで立つわたしが、大きな男にガッチリと掴まれたのだからたまらない。

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