NY・Sentimental

何より二人でキッチンに立って二人で包丁を持って、ああでもない、こうでもない、と言いながら料理をするのが楽しかった。


「セイジ危ないわよっ! じゃがいもそんなきり方したら、指まで切るわよ」


「包丁を振り回すなカレン、そっちのほうが危ない」








魚のブツ切りがたくさん入った鍋を二人で囲み、買ってきたワインとビールで乾杯し、たくさん食べた。


もうお腹いっぱいではちきれそうというくらい二人で食べた。


料理の腕が人並み以下のわたしとセイジの作った、お世辞にも整っているとは言えないお鍋。


でも、お鍋ってこんなに美味しかったっけ? と首をひねってしまいたくなるくらい美味しかった。


いっぱい笑った。

いっぱい喋った。


二十五の女と二十七の男とは思えないはしゃぎっぷりだ。

< 243 / 351 >

この作品をシェア

pagetop