NY・Sentimental
俺はカレンに巻きつけていた腕をしぶしぶ解いた。

家族のことを持ち出されると、引き下がるより他にない。


キッチンから出て、てきぱきと帰り支度を始めるカレンに、言いようのない不安を感じる。


今帰しちゃ、ダメなんじゃないのか。


ここに囲ってでもつなぎとめておきたいような、強い衝動にかられる。

どうしてこんなにも不安なんだろう。


カレンは、はっきりと俺を好きだと言ったし、この二日間の言動にだってそれは充分に表れている。


俺の過去が、俺を不安にさせるのか。

カレン、君は俺から離れていかないよな。


身支度の整ったカレンは、俺とこの休日を過ごすために買ったラフな服や寝間着用のTシャツや短パンを、ペーパーバッグに詰め込む。


「それはここに置いとけよ」

< 272 / 351 >

この作品をシェア

pagetop